大脱走

ある日の夕方。

 

いつものように犬の散歩へ。

 

いつもと変わらず

 

リードを付けて

 

家を出た瞬間、

 

右手の感触に違和感。

 

犬いなーい!

 

首輪が外れた。

 

追いかけっこ

 

スタート!!

 

まずは、車の通りの

 

多い道路を無事に突っ切り、

 

いつもの散歩コースの川原へ逃走。

 

速い!速すぎる!音速の貴公犬!

 

走って追い付くのは諦めた。

 

追いかければ

 

追いかけるほど

 

離れていく。

 

部活中の高校生に捕獲を

 

要請しようかと思ったが、

 

元気よく「こんにちは!」

 

って挨拶してくるもんだから

 

こっちも「こんにちは!」

 

って返してしまった。

 

もう頼めないわ〜。

 

高校生の視界が届く所までは

 

リード外して散歩している

 

ベテラン愛犬家を装い

 

大人の余裕を見せつける。

 

高校生が視界から消えた瞬間、

 

ダッシュで再追跡。

 

すると、100m先で

 

犬がこっちを向いて待っている。

 

ここは、あえて追わないで

 

自ら座って呼んでみる。

 

「ジン!」

 

……。

 

ビュー!

 

再逃走。

 

犬は、

 

100m程の間合いを常にとり

 

絶対捕まらないという

 

気合いが伝わる。

 

すると突然、こっちに猛ダッシュ

 

チャンス到来!

 

自分のところに

 

一直線に走ってくる。

 

これで終わる、ジン…お疲れさま…。

 

両手を広げて、

 

胸に飛び込んでくる愛犬…。

 

が、

 

フェイントかけられ

 

すぐ脇ビューって。

 

戦いの場は、

 

川原から車道へ。

 

車に轢かれる覚悟をする。

 

少々の渋滞発生。

 

本当に申し訳ない。

 

でも、視線が冷たいわけじゃなく

 

まるごとマラソンと同じ

 

頑張れ!って応援を感じる。

 

まっ、勝手に感じたんだが。

 

しかし30分経つと、

 

犬の体力がなくなってきた。

 

ここで妻が登場。

 

親族による説得作戦に切り替える。

 

シッポを振ってスタスタ来たよ!

 

妻には寄っていくのね。

 

5分くらいの説得を続け

 

無事捕獲。

 

もう散歩に行きたくない。

 

GW近し、たくさん遊ぼ。